年金5大改正 ③在職老齢年金の減額基準額の引き下げ

収入が多くても年金が削られなくなった
60~64歳の年金減額基準が改定でひきあげられました。これにより年金を受け取りながらでも現役並みに働きやすくなりました。
60~64歳の人が在職老齢年金で年金が減額される条件は?
年金を受け取りながら働くと、年金+賃金合計が一定額を超えると、超えた分の50%の金額が年金受給額から減額されてしまいます。その金額が年金受給額を超えると年金は全額停止になります。
年金月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額
総報酬月額相当額:(標準報酬月額)+(1年間の標準賞与額の合計額÷12)
| 年金月額+総報酬月額相当額の合計額 | 在職老齢年金制度 |
| 47万円以下 | 年金は全額支給される |
| 47万円超 | 一部または全額支給停止 |
年金2022年4月の改正で減額基準額を28万円超から47万円超に引き上げ
| 1ヵ月あたり減額になる金額の計算式 | (年金月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2 |
支給停止限度額が28万円から47万円に
60歳以降に、働きながら年金を受け取ると「在職老齢年金」制度の適応を受けることがあります。この在職老齢年金制度は賃金と年金額の合計額に応じて、老齢厚生年金の一部または、全部支給停止になります。具体的には毎月の賃金+1年間の賞与の月割り額+年金金額の合計が47万円を超えると、超えた金額の2分の1を老齢厚生年金から減額される仕組みです。改正前の上限額は、65歳未満と65歳以上で異なり、60~64歳の場合は28万円を超えると減額されていました。改正後は減額上限が47万円超まで引き上げられ、65歳以上と同じ条件になります。そのため、今まで収入が高くて年金を削られてしまった人が、年金が減額されにくくなります。
特別支給の老齢厚生年金受給者限定のメリット
ただし、今回の改正の主な対象者は60~64歳まで受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」を受給している人です。この制度は1986年に老齢厚生年金の受給開始が65歳に引き上げられた際に、受給開始年齢を段階的に引きあがるためにとられた措置で男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれた人のみが対象となります。例えば、年金月額10万円で月収が26万円あるため、在職老齢年金の減額ルールにより年間48万円減額になっていた人が改正により減額されなくなり、年金が増えることになります。この改正で今まで年金を減額されていた人が約37万人から約11万人まで大幅に減少する見込みと厚生労働省が発表しています。

